デンマークに来てとても驚いたことは、オーガニックに対する”意識が高い”こと。
日本にいた頃は、オーガニックは美意識や健康意識が高い人が買うもの、という感覚があり、自分の日常にはほとんど取り入れていませんでした。
身近に買える場所がなかったことや、価格が高いイメージがあったのも理由の一つです。
そんな中、私の意識を変える出来事が。
ある日パーティーの買い出しに友人とスーパーに出かけたところ、当たり前のように安いブロッコリーを買おうとした私に友人は言いました。
「何故オーガニックのブロッコリーを選ばないの?」
驚いた表情でそのまま私に質問をした友人を見て、私はハッとしました。
知らず知らず、私は当たり前のように安い野菜を選び、且つ形がよく、傷もなく、色鮮やかな野菜を求め、自分の健康よりも、得することに価値を見出していたのです。
友人は、一つの買い物が環境や世界を変えると信じ、行動していたんですよね。
何も考えずに安さだけを求めれば、安全よりも価格重視の商品が作られるのが市場です。つまり、買い手がオーガニックを必要とすれば、市場が変わる可能性があるのだと気付かされました。
実際にデンマークでは、オーガニック食品の消費量は総重量の約13%(日本は約1.5%)と言われており、スーパーにはほとんどの食材がオーガニックとそうでないものの選択肢があります。
価格は牛乳が通常が157円、オーガニックが175円とそこまで差がなく、ミニトマトは250g通常が306円に対し、オーガニックが210円と、安いことすらしばしばあります。
卵は、6個入りが通常が199円、オーガニックが472円と少し価格差が大きい食品も。(2021年3月時点)
また、デンマークでは1984年に世界で初めて政府がオーガニック製品の管理を法律で定めたという歴史もあり、古くから農業に限らず畜産業や水産業も含め、オーガニック製品が注目されてきました。
さらに、デンマークには政府が独自に決めた基準をクリアした製品に記載のできる"Ø-label'(左の赤いマーク)というオーガニック認証マークがあります。
これはなんと、30年以上も昔の1990年に使用が開始され、今では国民の認知度は100%です。
EUでも2010年にオーガニック認証マーク(右の黄緑のマーク)が始まりましたが、認定基準は最低限のため、デンマーク国民からは"Ø-label"への信頼が厚く、多くの人がこのラベルを目印に買い物をします。
また、オーガニック食品は単に健康に良いだけではなく、地球環境にも大きく影響していきます。
農薬や化学肥料を使う農地は土壌が汚染され、水質汚染にも繋がっているんです。
人間の体も、地球環境も、悪い方にも良い方にも、時間をかけて進んでいきます。
1日で健康になることもなければ、1日で環境が綺麗になることもない。
私たちの日々の積み重ねが、明るい未来に繋がっていくのです。
せっかく時を積み重ねるのであれば、自分にとっても地球にとってもいいことをしたい。デンマークに来てから、変わった大きな心境の変化です。
まだまだ、日本では価格差が大きく、手に入りにくいところもありますが、私たちの日々の選択が市場を変える一つの投票権。
ぜひみなさんもまずはご自身の出来る範囲で、これからの食品選びを変えてみませんか?