「デンマークといえば自転車!」と言っても過言ではないくらい、自転車はデンマークのアイデンティティのひとつになっています。今回は、この自転車とデンマークの関係性や、それにまつわる私の経験をお伝えしたいと思います。
デンマークの自転車の歴史と現状
その歴史は遡ること約50年前、1970年代に起こった石油危機がきっかけで、”Car free Sunday(カーフリーサンデー)”といって、車を使わない日曜日を4ヶ月ほど過ごしました。
それをきっかけに、車から自転車での移動を促進する動きが加速し、大気汚染や気候変動への意識の高まりも相まって、現在ではデンマーク人にとって欠かせない移動手段のひとつとなりました。
現在でも、”カーフリーサンデー”をコペンハーゲンなどの一部のエリアで再開することも議論されているほどです。
その比率は、車を所有する人が国民の4割に対して、なんと自転車は9割!
国民の9割が10歳までに自転車の乗り方を習得するそうです。主に通勤や通学、レジャーで使われており、特に通勤者においては約半数が自転車を利用しています。
整備された自転車道路と覚えておきたい手信号
私もデンマークに滞在していた頃は移動手段として自転車を利用していました。
そこで驚いたのが、自転車道がしっかりと整備されており、利用者のルールも徹底されていたことです。
道路上に自転車マークが描かれているか、標識があるので、まずはそこを走行します。デンマークでは自転車は右側走行。自転車道の中でも車のように右が走行車線、左が追越車線に分かれています。
ここで重要になってくるのが”手信号”。止まる前には手を挙げ、曲がる時には曲がる方向に手を斜め下に出して後ろの人に知らせます。
特にコペンハーゲンは自転車のスピードがとても速く、しっかりとルールに沿って手信号を使いこなしながら流れにのっていかないと事故の元になります。
最初は車で初めて路上に出た時と同じくらい緊張しました。
ただ、流れに乗れるとまぁ快適!街中もスピードを落とさず、車や歩行者を気にせずスムーズに移動できるのです。
レジャーでも大人気な自転車
郊外でも、自転車専用道路が多く整備され、自転車旅もデンマークでは人気です。
夏になると大きなバックパックを抱えて旅をしてる人や、夫婦でロードバイクを楽しんでいる人、家族で森の中を自転車で走る人たちなど、その楽しみ方はさまざま。
わたしは友人と30km離れたビーチまで一泊二日で自転車旅にチャレンジしましたが、これは一生忘れられない思い出となりました。
寝袋や調理器具なども抱えて自転車に乗るのは初めてでしたが、デンマークは自転車道が整備されてるだけではなく、地形が平らなので長距離の自転車も疲れづらいんですよね。
デンマークで出会った変わった自転車
最後にデンマークで見つけた変わり種自転車をご紹介します。
コペンハーゲンにある自治区クリスチャニアで発明された通称クリスチャニアバイク。
手前に木箱が設置されており、子供や荷物を運ぶのに最適。子供が2人以上いる家庭の25%が所有しているとか。
2人乗り自転車。
手前の人がハンドル操作をし、後ろの人は漕ぐだけ。前の人がブレーキをかけないと止まれないので、ペースが合わないとなかなかハード。
コペンハーゲン郊外で出会ったおしゃれ自転車に乗った方。自転車はスウェーデンから輸入したのだとか。
自転車といっても、スポーツ系からおしゃれ系までさまざまな種類の自転車が見られるのもひとつの楽しみかもしれません。
最後に、特にわたしは自転車のスピードが大好きです。車より遅いけど、歩くよりも早い。
車だとパッと目に入った美しい景色も一瞬で過ぎてしまうし、戻るのもなかなか大変。
歩きだと疲れちゃって多くの景色には出会えない。
その点、自転車は車では通れない自然の中も通れるし、デンマークのように整備がしっかりされていると意外と安心して長距離走れる。そして何より自分のペースで景色を味わうことができる。
何事も効率を良くして、早ければいい訳でもないのです。
みなさんも、自分の好きな時間の流れを楽しんでみてくださいね!